[CSMO舛田×COO鈴木/後編]組織を前進させる“言葉”と “動機”

[CSMO舛田×COO鈴木/後編]組織を前進させる“言葉”と “動機” サムネイル画像
【お知らせ】2023年10月1日にLINE Fukuoka株式会社からLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社へ社名を変更しました。9月30日以前の記事は、旧社名の情報を元に作成しています。
 
こんにちは!LINE Fukuoka Press編集部のゆげです。

LINE株式会社CSMO舛田×LINE Fukuoka株式会社 COO鈴木対談、「マーケティング観点で見る、福岡とLINE Fukuoka」について意見を交わした 前編に続き、後編のテーマは 「組織を前進させる“言葉”と“動機”」

経営の立場から、組織を成長させるために大切にしたこと。LINEが2019年に会社・社員の価値基準として「WOW=No.1」を掲げた理由や、事業を推進するキーとなる「動機」を個人がどう見出すかについても話を聞きました。

8_DSC00057

「No.1を目指す」と言い切る理由


舛田:LINEという会社には、LINEらしい考え方をまとめた 「LINE STYLE」というものがあります。2019年に、その「LINE STYLE」の中で、感動や驚きを表現する「WOW」はつまり「No.1」であることを定義しました。これは、感動や驚きだけではだめで、No.1じゃなければ意味が無いと言ってるんですよね。各事業が、それぞれの市場においてのNo.1を目指す。

となった時に、LINE FukuokaというチームにとってNo.1とは何か。

WOW=No.1やLINE STYLEはフロント側だけの話ではなく、それを支えるバックオフィスのメンバーにももちろん必要です。
自分の業務の中でどうしたらWOWが生まれるのかを常に考えること、世界一のカスタマーケアやモニタリングチームになるためのWOWとは何かをそれぞれが追求していくことができると、LINE Fukuokaはさらにいいチームになれますよね。

鈴木:そうですね。実はLINE Fukuokaでも3年くらい前に、運営部門で 「まずは日本No.1、そのあとアジアNo.1になろう」というのを掲げていたんですよ。

正直、最初はみんな全然ピンときてなかったです。「もっと手前の段階でやることがある」とか「1番の定義って?」とか。
よく考えたら、本当に1番を体験したり目指したことがある人って一握りじゃないですか。たとえば競技でも、会社でも。

それでも3年くらい言い続けて、途中で「WOW=No.1」という言葉も出てきて、浸透していく中で、「その考え方もありなのかもしれない」と風向きが変わってきた。
たとえばウェブサイト上の誰でも見られるスペースに不適切なコンテンツがあることを防ぐモニタリングの部門で、 「グローバルのモニタリングフィルタと戦って世界No.1になろう」というような意思が出てきました。やっぱり、継続が大事だなと。

舛田:本質的な話ですね。我々も、経営陣や最初にLINEをつくってきたメンバーは、そもそも「最も使われるサービスをつくる」ことを目的にスタートしているので、あえて言語化しなくても、No.1を目指す行動を取るんですよね。
だからそれを言語化するのもなんか野暮だなとか、ださくないか?と思ったりもしましたし、No.1じゃなくても意味があるものは存在する、みたいな価値観もあるとは思うんです。

でも、WOW=No.1と言い切ることを決めた。
私たちがこの会社でやるべきことはNo.1をつくりあげることです、と。

No.1になれなければ、私たちが掲げているビジョンやミッションが実現できていないということになる。だったら恥ずかしがらずに、私たちはNo.1を目指すと言い切ろう、と決めたのが2年前。

鈴木:すごく共感します。 1位を本気で目指した人とか、1位って何なのかと真剣に考えた人にしかわからない世界があって、そこに大事なものが詰まっている。今そこから遠かったとしても、それを考え続けるプロセスが重要で。結局それが積み上がっていい仕事につながっていくから、言葉は大事だと思います。

舛田:そうですね。
今日より明日、明日より明後日と積み上げることは、No.1を掲げなくてもやれると思う。
でも、 No.1を掲げることで、「ギャップ」が生まれる。
No.1ってだいたいすごく遠くにあるから、「ギャップ」を埋めるためには、もっと考えて、もっと行動しないといけない。なんならもう、ムーンショットみたいなものを打たなければいけない。

現在から2倍の成長を目指す場合は登り方を合理的に考えればいいけれど、10倍成長させるには全く違うことをやらなきゃいけない。頭の使い方も、チームの動かし方も変わってくるので、私もNo.1というのを掲げてよかったなと思います。


9_DSC00674

抽象度が高いテーマを、議論し続けることに意味がある


鈴木:No.1というキーワードがくると、「1位になるために仕事してるんじゃない」みたいな議論が起こる。僕はそれ自体がいいことだと思っていて。 議論が起こって初めて、みんなが何を考えているかわかったりもするので。

「WOW」という言葉も、「これがWOWかどうか」って何の物差しも無いじゃないですか。
それがまた良くて。「これWOWだよね」って言ったときに、「全然普通じゃん」とか、「いやすごいでしょ」とか、それぞれの考えが見えて、どんどんすり合わせができていく。「WOW」のように物差しが無い言葉にはそういう効果もあると思うんですよね。

舛田:そうですね。先日初めて社内表彰イベントの 「GLOBAL WOW PROJECT AWARDS」をやりましたが、あのイベントも「WOWって何だっけ」というのをもう一度、グループ全体で確認する場でしたよね。

WOWという言葉自体はすごく抽象的なもの。なので推薦されたプロジェクトも、推薦した役員にとってはWOWでも、みんなで議論すると「それはWOWじゃないのでは」となることもある。そういう議論を経て、「みんながWOWだと思ったもの」が可視化された。それを「ああ、これがWOWなのか」と社員が受け止める。

ディスカッションを積み重ねることが大事なんですよね。
雑談の中でも、これはWOWだよねとか、No.1ってどのNo.1なんだろうとか、
そんな話が出ることが、組織を前に進めていく上で大切だなと思います。

鈴木:同意です。たとえば、「LINE Fukuokaとは何者なのか」という問いも、社内外から本当によく頂くんですが、 その答えを考えることそのものが一番重要だと思ってて。

LINE Fukuokaとは何者なのか、どこに価値を置いて自分たちは頑張るべきなのかを、自分たちで議論すべきで。

LINE Fukuokaの表彰制度の「LION」も、4年前に始めたのですが、そもそもLINE Fukuokaが何者かも、何が価値かもわからないのに、なぜアワードをするのかという話になるじゃないですか。

でも、アワードを始めたことでディスカッションが生まれる。
何をよしとするのか、何をよしとしないのか、その先何を目指していくのか。
審査の過程で、リーダー陣が忖度なしに話すことで、それぞれの考えが見えてくる。今年からプレゼン審査をメンバーに公開しているのですが、それを見たメンバーが「あれが自分たちの目指すべき未来かな」とか、考えることもすごく大事で。

一番抽象度が高くて答えが無くて、考えないといけなくて、審査しにくいものを表彰するのが実はすごく大事なことですよね。
完全に物差しが決まっているものをやるのは、あんまり会社という生き物にとってはわくわくしないというか。

舛田:わかります。 わくわくしてくれたら、組織ってきっといい方向に進むので。

10_DSC00522

 “WHY”(動機)のヒントは、選択・判断の「軸」にある

―組織を前進させる、という話に関連して。
1月のKick off Meetingで、CWOの慎さん(LINE株式会社 代表取締役 Chief WOW Officer 慎ジュンホ)から、改めて仕事の“動機”、すなわち「なぜやるのか=“WHY”」が大切であるという話がありました。

LINEグループに限らず、近年、ビジネスの世界で“WHY”の重要性が語られているように思うのですが、“WHY”を見つけ出すことが難しいようにも感じます。おふたりは、どのようにして“WHY”を見つけ出していますか?

鈴木:見つけ出す、というより、考えずにいられないんですよね。
自分の場合はまず、性格が楽観的じゃないんですよ。企画の仕事をしてきた人の特性かもしれないんですが、「こんなことが起きたらいいな」とポジティブに考える一方で、新しい挑戦って99%以上失敗するので、それを成功に近づけるためにネガティブなこともいっぱい考える。

仕事においても人生においてもそうで、でも最後は選ばないといけない。その時に自分の軸がないと選べないんですよね。その軸が自分にとっての“WHY”なんだと思っていて、これがないとそもそも選択ができないし、選んだ後も迷ってしまう。

ちょっと抽象的で申し訳ないけど、自分がどんなことで社会に貢献できるのかとか、どんなことをしていたらハッピーなのかを、考えずに生きられないんですよね。


―その「軸」はこれまでのキャリアの中で見えてきたのでしょうか。鈴木さんのプロフィールを見ると、わりと順風満帆なキャリア、という印象があるのですが…

鈴木:自分としては、順風満帆なつもりもないんですよね。
福岡で生まれ育って、新卒で上京して正社員として大手電機メーカーに入ったけど、26歳で退職。その後、当時できたばかりだった広告制作会社に契約社員として入社して、未経験で採用広告制作の仕事を始めた。その時点で、自分としては一度「レール」からは外れたというか、 「雑草みたいに生きていくしかないな」と思ってるんですよね。

ちなみに余談なんですが、広告制作会社への転職直前に結婚していたので、正社員を辞めて契約社員として入るということで妻に反対されたんですよね。でも反対理由が、「本気度が足りない」「好きという理由だけで仕事を選ぶな」と。

それで実は一度諦めて、入社を断ったんですよ。でも、その3カ月後くらいに自分から「もう一度話しませんか」と先方に連絡しました。

新橋の居酒屋で話したんですが、企業の採用をお手伝いする仕事の魅力について1時間ほど話を聞いたところで、近くの席にいた外国の方が割り込んできたんです。
「あなたたちの話を聞いていました。採用の仕事をしているなら、ぜひ私の会社の採用を手伝ってくれませんか」と相談してきて。
渡された名刺を見たら、東南アジア系の企業の社長さんでした。そこから1時間半くらい、その会社の採用について3人で話したんです。

その方はサクラだったんじゃないかと思ってるんですが(笑)、当時は単純だったので、その社長さんがすごく喜んでいるのを見て、 「こんなに人の役に立つ仕事があるのか!」と感動して。

お話した社員の方もすごく活き活きと働いていたので、もう俺は何としてでもこの仕事をしよう、と思ってもう1度妻に相談したんです。そしたら「いいよ」と。
もし契約を切られたら場所を選ばずどこででも働く気持ちがあるかと聞かれて、「ある」と。
それならいいんじゃない、と言ってくれました。その3カ月で、妻から見たら「本気度」が変わったらしいです。

一度「場所を選ばず働く」覚悟をしていたので、自分が「いいレール」を走っているつもりはないんです。
逆にその経験を経て、何のために仕事をしているのかとか、どんなことで自分が世の中に貢献できるのかを考えるようになりましたね。ごめん、回答になってないかな。


―「こんな役に立つ仕事があるんだと感動した」という話がヒントなのかな、と感じました。
「こんな風に相手に喜んでもらうことができるんだ。じゃあやろう」というところから“WHY”が生まれる可能性もあるのかなと。

鈴木:「人の役に立てる」が私の“WHY”になっている、ということですよね。よく「無人島で、ひとりでも生き残れると思うか」という話をするんですが、僕は思わない派で。
なぜかというと、誰かに感謝をされることが無いのに耐えられないんじゃないかと思うから。最低もう一人、もしくは動物でもいい。 自分が、自分じゃない誰かに貢献して、その人が喜んでくれる状態が無いと生きられないんじゃないかと思っていて。

11_DSC00355

舛田:「人があってこそ」なんでしょうね。
私、小学生の時、ちょっと変わった子どもで。当時よく「僕に出会った瞬間が、相手の人生におけるターニングポイントになってほしい。良い方向でも悪い方向に転んでも、どちらでもいいんだけど。」と言っていたんです。

鈴木:どんな子どもですか。(笑)

舛田:さすがに相手の人生が悪くなっていいとはもう思わないけど、自分が出会うことによって、その人に何かいい影響を与えられたらいいなとか、 自分が関与することによって何かを好転させたいという思いは今も変わってないんですよね。

たとえばLINEの前身の会社にジョインしたときって、決して良い状況ではなくて。当時、検索事業を成功させるために入ったのですが、検索サービスって既に色々なものが出ていて、結局どこも大手に勝てていない。
私自身もそれ以前に所属していた会社で検索サービスを事実上一回失敗させている。

そんな何重苦かわからない状態で入社しようと思ったのは、慎さんとの出会いがあったから。こんなに意気投合する人がいるんだ、と驚きました。同じことをイメージできる人がいるんだ、と。

一方で慎さんはプロダクトを生み出すプロだけど、日本のマーケットのことは当時あまり知らなかった。それなら私がマーケティングやビジネスの部分で加われば、「好転」させられるんじゃないかと思ったんです。

私、そもそもレールが無い状態で社会人生活をスタートしているんですよね。高校を1年で辞めて、そこから工場とかで働きだしているので。

高校を辞める理由も、あまりにも授業をサボっていたら「勉強しないなら辞めていいんだぞ」みたいなことを先生に言われて。その時に、本当に心から、「なんていいアイディア!」と思って。

それまでは多分、レールを意識していたんだと思うんですよね。中学の次は高校に入って、3年過ごしたらその次は…みたいな。
でもそこで「辞める」という選択ができたことで、その後も全ての選択肢を考えられるようになった。何かを失うリスクを考えなくていいと思うようになった。それは私の強みだと思っています。

戦略や企画を考える時に大事なのは、何かに囚われてしまわないこと。
人は無意識に慣習に従ってしまうんですよね。

でも、今までの慣習や、「ここまで頑張ってきたから」とかは無視すべき。
その先に勝ち筋が無さそうならやめる。自分のサービスだからここまでしかできない、というのも疑う。そういう タブーを無邪気に乗り越えて、既存のプレイヤーが生み出せなかった価値を生み出すことに意味があるし、自分が生きてきたプロセスの中で、こうした戦略の思考が得意になりました。

さっきの鈴木さんの「軸」の話でいくと、私が選ぶ軸は 「私が入ることで何かが好転するかどうか」。なので、勝ってるところにはいかないんです。
困難があるところに参入することが多くて、そこに自分がやる意義があると考えています。

12_DSC00557


―もうほとんど答えを言って頂いた気がしますが、おふたりが、LINE・LINE Fukuokaという会社に身を置く“WHY”は何ですか?

鈴木:前職を辞める時、独立も考えたんですよね。でも、採用のお手伝いをしていたこともあり、 「地元の福岡に、やりがいある仕事をつくりたい」という想いが強くなって。
本当に人のためになると思える仕事、楽しいと思える仕事。もちろん福岡に既にあると思うんですが、福岡という場所ならもっとそんな魅力ある仕事を生み出せるんじゃないかと思った。そんな時に、たまたまLINE Fukuokaという生まれたての会社があって。

当時LINEというサービスも生まれたばかりのタイミングだったのに、福岡という地方に、拠点を既につくってしまっている。これはきっと、中はカオスだろうなと予測できました。(笑)

でも、こういう会社をしっかりつくっていくこと自体が社会への貢献になるし、サービスを通しても社会に貢献できる。もしかしたら「自分の良さを生かして役に立つ」ことができるんじゃないか、というのが入社動機で、その気持ちは今も変わらないですね。


―舛田さんはいかがですか?

舛田:こんなに社会に影響を与えようとしてる会社って無いと思うんです。ひとつコトを起こすのも大変なのに、 LINEという会社は安定を嫌っていて、色々なことをどんどん変えようとしている。

その中に自分がいられるのは、やりがいもあるし、素敵なことだなと。
さっき言った、「好影響を与えたい」という思いとシンクロしてると思います。

自分が生活していくことだけを考えるなら、LINEじゃなくてもいいかもしれないし、一人で働いてもいいかもしれない。一人でやっていれば意思決定も速いし、好きなこともできる。ストレスも無いかもしれない。

でも、やっぱりチームじゃなきゃ、LINEのメンバーと一緒じゃなきゃできないことがある。自分ひとりでできること、影響を与えられることってたかが知れてるよなということも年々強く感じるようになっていて。より遠くにいくためには、この仲間と一緒じゃないといけない。

LINEはこれまでの約10年で、世の中のコミュニケーションを変えてきた。インターネットの歴史に燦然と輝く結果を残せた、という自負があります。

次の10年、次のパラダイムシフトの中でも、再び歴史を変えられる船がLINEという会社だと信じている。だから私は、ここにいます。

13_DSC00858

2回にわたってお届けした舛田×鈴木対談、いかがでしたか?

このような経営陣とともに、LINE Fukuokaでは、様々な「動機」をベースに日々挑戦している社員たちがいます。LINE Fukuoka Pressでは、そんな“LINER”たちの「挑戦」の宣言・軌跡・結果とその土壌となる環境・カルチャーについて引き続き発信してまいります。



前編はこちら

過去の経営対談はこちら

LINE Fukuokaの採用情報や各種取り組みについては、下記の公式アカウントから随時お届けいたします。是非ご登録ください。

LINE公式アカウント(LINE ID:@linefukuoka)
 

LINEヤフーコミュニケーションズ
公式SNS

ブログ記事更新のお知らせやLINEヤフーコミュニケーションズの最新情報を配信中!