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「仕様書通りに動くか」だけでなく、「ユーザーニーズに合致しているか」が大事-QAのプロフェッショナリズムとは

「仕様書通りに動くか」だけでなく、「ユーザーニーズに合致しているか」が大事-QAのプロフェッショナリズムとは サムネイル画像
LINE Fukuokaの中でもひときわ大きな組織、「QA室」。
業務に役立つ知識のインプットやコミュニケーションの活性化を目的に、年に一度ほどのペースで全体ワークショップを行っています。
今回はソフトウェア業界の大物ゲストもお招きした大規模なものとの噂を聞きつけ、Marketing Communication室の弓削がおじゃましてきました!

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イベントレポートをお届けするとともに、QA室 LINE Service QAチームのマネージャーである上田と会を振り返っていきたいと思います。
 

当日のコンテンツはこちら。


※QA室の業務内容についてはぜひこちらもご覧ください!

 

①アイスブレイク

この日は1日がかりのワークショップ。午後に向けてチームの結束を高めてもらうため、まずはアイスブレイクとして「ストロータワー」にチャレンジ!ストローとテープだけでどれだけ高いタワーをつくれるか、チームで競います。


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弓削(MC):かなり白熱してましたね!今日は皆さん即席チームとのことでしたが、どこもチームワークが素晴らしかったです。

上田(QA):QAはPJごとに3名~10名のチームで必ず動くことになるので、チームワークが必要不可欠です。
チームでうまくワークするために必要な要素として

・目標を設定する
・役割を明確にする
・問題を解決する
・それらを円滑に進めるためのコミュニケーションスキルとリーディングスキル

などが求められてきます。

今回行ったアイスブレイクの「ストローワーク」は上記の要素が全て求められます。

限られた時間内で目標を設定し、どういうタワーを作るか、誰が手法を調べるかなど役割を明確にし、コミュニケーションを取りながら、高くて崩れないタワーを作る必要があります。

実際の業務でも、限られたスケジュールやリソースの中で、品質目標を定め、テストの目的や範囲・程度を設定し、「誰がテストケースを作るか」「テスト実行はどこを誰がどの期間でどれぐらいするか」など役割や作業を分担して進めないといけません。チームワークが重要な、QAらしいアイスブレイクでしたね。


②LT(ライトニングトーク)

続いて、LINEグループでQAを担う各拠点のチーム代表によるLT。
直近のプロジェクト紹介やチーム成長の共有、QAが鍵を握る「品質」とは何か、LINEグループのQAはどうあるべきかというテーマまで、各拠点から個性豊かなLTが行われました。


LINE Fukuokaからは、「LINEグループのQAはどうあるべきか」や「仕事への向き合い方」をテーマにお話。

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LINE technology Vietnam、Naver Chinaからは組織の紹介。

 

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LINEからは直近動いた大型プロジェクトに関する紹介がありました。

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弓削(MC):LINE FukuokaのQA組織だけでもかなり大規模だと思いますが、海外拠点と連携して仕事を進めるケースもあるんですね。

上田(QA):そうですね。LINEグループのQA拠点は東京、福岡、韓国、中国、ベトナムとあり、プロジェクトによって関係する拠点などが変わってきます。
海外拠点にQAがいて、福岡にテスターがいる場合もあれば、福岡にQAがいて、海外拠点にテスターがいる場合もあります。福岡だけでQAもテスターもいる場合もあります。

福岡拠点はLINEグループが展開するサービスほぼ全域に関与しており、小さいものも含めると200PJほどを担当しています。
当然QAやテスターも多く在籍するので、その規模は全拠点の中でも圧倒的です。

③湯本剛さん講演

ここからが、本日のメインコンテンツ。
ソフトウェアテストの専門家として、現場経験はもちろん、技術試験の日本導入のリード、数多の書籍執筆など多彩な実績を持つ業界の第一人者、湯本剛さんによる講演とワークショップです。

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弓削(MC):QA室のメンバーから、「湯本さんはこの業界の神みたいな方」だと聞きました…!

上田(QA):ソフトウェアテスト技術者の国際的な認定資格(ISTQB)があるのですが、その日本導入を技術面でリードし、日本のソフトウェアテスト技術者の認知・地位・能力向上に貢献されているお一人です。ソフトウェアテストに関する博士号も取得され、常にソフトウェテスト業界をリードされている方です。

弓削(MC):今回の講演はどういう経緯で決まったんですか?

上田(QA):毎年様々な場所で、ソフトウェア業界全体のテスト技術力の向上と普及を目的としたソフトウェテストシンポジウムが開かれていて、LINE Fukuoka QA室も最新の技術や動向に触れるために毎回数名参加させていただいています。
その際にQA室のメンバーが湯本さんとお話しする機会があり、「是非福岡に来て講演してください!」という無茶なお願いをしていました(笑)

その後、湯本さんと交流のある東京拠点の方に取り持って頂き、実現にいたりました。
来福してわざわざ私たちのために講演していただけるということで、これはなんとしてでも実りのある時間にしなければ!と、湯本さんが発信されてるブログなどを読み込んで予習したり、湯本さんへの質問リストを用意して臨みました(笑)


講演テーマは「テスターのプロフェッショナリズムについて」。

QAエンジニアやテスターとして具体的に必要なスキルに触れながらも、

「QAエンジニアやテスターという職種には、テスト設計技法を適用できる能力や帰納的な思考ができる能力、テストマネジメントのスキル、ソフトウェア開発に関する知識やドメイン知識…と様々なスキルが必要。

では、その能力を持っていることがプロなのか?というと、そうではない。
プロ意識=プロとしての自覚、もしくはプロになるための姿勢が最も重要。
その意識が無ければ、能力は知らぬ間に陳腐化していく。」

と、湯本さんの考える「プロフェッショナリズム」についてお話頂きました。

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弓削(MC):私自身はQA門外漢ですが、湯本さんのおっしゃる「プロフェッショナリズム」はきっとどの職種においても必要とされるものだなと感じました。

上田(QA):おっしゃるとおり、「責任を持ってやり遂げる」「学び続けること」などはQAだけでなく、どの職種においてもプロ意識を持つという意味で必要とされるものだと思います。

プロフェッショナルになるという点で、QAならではの難しさでいうと、湯本さんもおっしゃっていたように、多くのスキルセットが必要とされ、学ぶことが多岐に渡るという点ですね。

・計画や見積もり、報告、進捗管理、リスク検討、除去等の一般的なプロジェクトマネジメントスキル
・限られた期間でどの機能をどれぐらいどうやってテストするかなどの分析・設計などのテストエンジニアリングスキル
・ソフトウェアの仕組みやデータの流れ、開発ドキュメントなどをテスト設計の入力情報として読み取るために必要なソフトウェア開発に関する知識
・テスト対象を構成する知識や技術に関するドメイン知識
・ステークホルダとの相談、交渉、調整に必要なソフトスキル(ビジネススキル)

業界の中に入らないとなかなか求められるスキルセットの多さに気づいてもらえないのですが、学ばなければいけないことは本当にたくさんありますね。


④「ゆもつよメソッド」ワークショップ

続けて、湯本さんが提唱するテスト分析手法「ゆもつよメソッド」を利用したワークショップが行われました。
旅行代理店向けのフライト予約システムを題材に、想定される故障や欠陥の具体例をチームで意見交換します。

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弓削(MC):そもそも、テスト分析手法というのはなぜ必要なんでしょうか?

上田(QA):大前提として、「仕様書に書いていることをテストする」だけが私たちの仕事ではないんですよね。
ユーザが仕様書通りにサービスを使うとは限らないし、仕様書通りに動けばユーザーが満足するサービスになるとも限らない。
だから、仕様書に書かれていないこともテストする必要があります。

もちろん、企画者がユーザーのことを考え尽くしてアウトプットしているのが「仕様書」ですが、我々の役割は第三者視点で冷静にサービスをチェックし、最善の状態で世に出すことです。

そんな中で、まず仕様通りに正しく機能ができているかを「検証」することに加え、ユーザーニーズと合致しているかの「妥当性確認」を漏れなくダブりなく、どうやって上手にテストに落とし込んでいくかを考えるときの助けになるのがテスト分析手法の役目です。
様々なテスト分析手法がありますが、開発手法や、テスト対象のドメイン、スコープ、状況や環境、規模などでどの手法を採用するかは変わってきます。

ゆもつよメソッドの特徴は、湯本さん自身もおっしゃるようにいくつかあります。
その中でも、個人的には「テスト分析」と「テスト設計」を1つのドキュメントフォーマットにまとめて書ける点が良いなと感じています。
また、「テストチームのレベルを合わせること」を目的として発明された経緯があり、テストケースの作成方法や粒度が人によってバラバラになってしまうという悩みを解決してくれます。そのため、組織の標準を策定するような部署の人たちに人気があるようです。 

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個人ワーク・チームでの意見交換を経て、各チームで出た欠陥例を全体共有。
短時間のワークでしたが、様々な例が上がってきました。

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1日がかりで行われたワークショップ。最後は質疑応答の時間に。
会場からはこんな質問が上がりました。

「様々な肩書を持つ湯本さんが、SNSのプロフィールなどで『テスター』を名乗っているのには理由がありますか?」

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これに対し湯本さんは「いい質問だね」と破顔しながら、


「テスターは創造的な仕事。それが、正しく理解されず、軽く見られてしまうことがある。
自分はテスターとしてキャリアを重ねてたし、今後もテスターとしてやっていきたいと考えてる。
余計なお世話かもしれないけど、テスターの皆にも自信を持ってほしい」


と回答しました。
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弓削(MC):今回参加させてもらって、QAエンジニアやテスターの皆さんの仕事をきちんと理解できていなかったな、ということを猛省しました。。
言葉を選ばずに言えば、決まったルールや仕様書通りにテストをする仕事、というイメージでした。

でも今日一日を通して感じたのは、それってこの世界では「レベル1」みたいな状態なんですね。

特にLINEはサービスを出すスピードも速いし数も多い。
その中できちんとサービスをユーザーに届けられる状態にするためには、ものすごく高い「分析」と「設計」のスキルが要りますよね。
個人的には、例えばプロジェクトマネジメントのスキルにも通ずるものがあるなと思いました。

上田(QA):日本はまだまだテスターの地位やポジションなどが確立していないと業界の中にいても感じています。業界の中にいても感じるくらいなので、外から見て誰でもできる簡単な仕事みたいにイメージされてしまうのもわかる。
確かに誰でもできるような部分もあるにはあります。ただそれはテスティングではなく、チェッキングなんです。テスティングはとても奥深く、創造的で技術的な活動です。

我々は安心安全で心地よいLINEサービスをユーザの皆さんに継続的に提供していくために、これからも学び続け、LINEサービスのWOWな品質を追求していきたいと思います。


LINE Fukuokaでは「開発・QA」職で活躍いただける方を幅広く募集しております。募集要項をぜひご覧ください。

▼開発・QA 全体募集要項
https://linefukuoka.co.jp/ja/career/engineer


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