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組織数9→96。CS・翻訳・金融…目指すは各領域の“プロ集団”―LINE Fukuoka「サービス運営」の7年とこれから【前編】

組織数9→96。CS・翻訳・金融…目指すは各領域の“プロ集団”―LINE Fukuoka「サービス運営」の7年とこれから【前編】 サムネイル画像
【お知らせ】2023年10月1日にLINE Fukuoka株式会社からLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社へ社名を変更しました。9月30日以前の記事は、旧社名の情報を元に作成しています。
 
2020年11月18日、LINE Fukuokaは設立7周年を迎えます。
LINEの国内第二拠点として「福岡からLINEのサービスを支え、福岡の皆様とともにLINEを育む」ために生まれたLINE Fukuoka。
2013年の設立当初から比べると、 社員数は約6倍、組織数は約14倍に拡大し、担う業務の幅も広がりました。

そこで今回、7周年を期に、現在のLINE Fukuokaが持つ機能について改めて紹介するとともに、7年間でどんな進化があったのか、今後どんなチャレンジをしていくのか、組織を率いるリーダーたちに聞いてみました!本日より11月18日まで、全7回にわたってお届けします。

第1回は、LINE Fukuokaで最も大きな割合を占める 「サービス運営」部門。
カスタマーケア、モニタリング、ローカライズ、審査など幅広い業務が存在する同部門の「これまで」と「これから」を、前後編でご紹介します。

話を聞いたのは…
FIX_サービス運営①登場人物

CONTENTS

サービス成長と共に組織も急拡大。職能や業種ごとの専門型組織へ

業務効率化によって、最高の顧客体験を追求できるカスタマーケアへ

「CS組織の翻訳部隊」から、「LINEサービスのローカライズ組織」へ

「金融組織」として、信用を確立し進化する



サービス成長と共に組織も急拡大。職能や業種ごとの専門型組織へ

―当初9つの組織(1室・2チーム・6パート)からはじまったサービス運営業務は7年で規模・種類ともに拡大。現在では96(8室・32チーム・56パート)もの組織規模になりました。 ※2020年11月時点

松山:本音でお伝えすると、サービスの成長・拡大に追い付くのに必死だった7年、という感じですね。サービスの規模や数が増えていく中で、工夫を重ねながら、事故を起こさない、ユーザーの期待を裏切らないことを第一にやってきました。

野中:そうですね。サービスの成長と拡大に伴って、 ユーザーニーズに応え続けるためには、それぞれの業務で専門性を磨いていく必要が出てきた。「ローカライズ」のように職種としての専門性を高めるケースもあれば、「金融」のように業種での専門性が必要になるケースもあります。それに合わせて、組織も最適化されていきましたね。

松山:高速でサービスリリースを続ける中、企画者がCS(カスタマーサポート)や審査・モニタリングなどサービス開始と同時に必要になる運営部分まで完璧に設計しきることは難しい。でも、サービスを継続させるためにはその部分がとても重要ですよね。

当初はどちらかというと、「企画者の設計通りに実行する」部隊だったLINE Fukuokaのサービス運営部門ですが、設立当初から実践を繰り返してきた中で、知見が貯まってきています。最近はそうした知見を活かし、新サービスの構想段階で、運営のプロとして設計を担えるようになりました。

野中:現場を知っているかどうかは設計精度にも関与してきますよね。それと、自分達が当たり前にやっていることって、それが自分たちの価値・強みだということに気づかなかったりする。

松山:だからこそ2016年に生まれたのが表彰制度「LFK Value Award」ですね。エントリーシートやプレゼンなど人に伝えることを通して、自分達の価値や強みを理解・認識する良い機会になっていると感じます。
振り返ってみると、 「7年前だったらできなかったこと」が数多くあります。普段あまり意識しませんし、まだまだ途上ではありますが、確実に進化しているんですよね。
松山さん野中さん


 
業務効率化によって、最高の顧客体験を追求できるカスタマーケアへ

―LINE Fukuokaの「原点」とも言える仕事のひとつが、お客様の問い合わせ対応等を行うカスタマーケアです。この7年で、どんな変化がありましたか?

松山:まずは業務効率化の面で、多くの進化がありましたね。
サービスが急成長する中で、「問い合わせへの迅速な対応」はユーザー満足度に直結する重要な課題でした。最初は正直力わざで対応していた部分もありましたが、 ヘルプページの拡充や、問い合わせフォーム入力時にユーザー状況に応じたアドバイスが自動で表示される仕組みの導入など、ユーザーによる「自己解決率」を上げる施策に取り組んできました。

重信:直近も、Global Operation室と一緒に、案件管理がより効率的にできるようなシステム改修を進めたり、Data Labsと一緒に 過去のトレンド分析・入信予測をおこなっています。たとえば、iPhone発売のタイミングなどは一時的に問い合わせ数が増えるのですが、そうした予測も、過去の積み重ねがある分精度が上がってきています。今その予測を活用して、準備ができていますね。

松山:効率化を進めることで、本来追求したい 「より良い顧客体験」という部分にきちんと向き合えるようになってきたと思います。


―2017年には顧客体験を追求するCXチームもできましたね。

松山:サービスが成長し続ける中で、どうしても現場は対応に追われてしまい、教育などもチーム単位でばらつきがある状態でした。効率化と並行して、 「LINEのサービスを利用してくださっているユーザーの満足度を上げるために何ができるか」の探求にきちんと時間を割いて取り組めるチームをつくりたい、とずっと思っていて。
2017年に顧客体験を探求するCXチームと、データを基に効果的な人員配置を考えるWFM(ワークフォースマネジメント)チームをつくりました。


―WFMチームは、「後編」に登場するバリューマネジメントセンターへと続いていく組織ですね。現在ではカスタマーケアに限らず、サービス運営組織全体の業務効率化を担うようになりました。

松山:そうですね。CXチームも、最初から理想通りに動けた訳ではなく、まず現場でそれぞれに動いている教育体系や品質維持施策の整理から始まりました。でも今は、設立当初目指していた形になっていると感じます。ユーザーにLINEのサービスを長く使っていただくために何ができるか?という視点で、サーベイの設計や具体施策の検討をしてくれています。

お客様の声
Customer Care室では、ユーザーから寄せられた嬉しいお声をオフィス内に掲示。良いユーザー対応とは?を考えるきっかけにしている

―ユーザーに対する理解や知見活用の場も広がっていますね。現在は、LINE MUSIC等のストアレビューや、サービス公式Twitterのサポートなども担っています。

松山:CS業界ではアクティブサポートと呼ばれるもので、決して珍しくはないのですが、やはり積み重ねてきたユーザー知見があるからこそできることだと思います。7年前に同じことができたかというと、難しかったと思いますね。

重信:直近では、「LINE MUSICの無料体験期間を超えて長くご利用いただくには」というテーマに事業部と取り組んでいます。無料体験期間のみで終了される理由を紐解いていくと、「使い方がわからない」とか、「LINE MUSICの肝になる機能の存在を知らない」というケースも多いんです。
改めて使い方や機能の案内ページをつくることで解決することもある。
そんな風に、 蓄積されたユーザー知見を活かしながら、よりマーケティングに近いチャレンジもしています。カスタマーケアからできる事業利益貢献の形であり、個人的にはCSとしてあるべき姿だと考えています。

松山:今後は、「来たものに応える」だけではなく、LINEを使っているお客様の満足度を高めるために何ができるかがポイントになっていく。

重信:ユーザーの声を、もっともっとサービスに活かしていけると感じます。LINEサービスのステージとしても、今後はユーザーに使い続けて頂くこと、ロイヤル化していくことが重要。
カスタマーケアも「応対品質が良い」だけでは不十分。サービスを理解し、ユーザーを理解した上で、マーケティング的な観点を持ってユーザー貢献を考えられる組織になっていきたいですね。
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培ったナレッジについて、外部登壇等でお伝えする機会も増加している。写真は2019年に松山が登壇した「CCFes#6」の様子

 
「CS組織の翻訳部隊」から、「LINEサービスのローカライズ組織」へ

―CS組織の翻訳部隊から派生したのが現在のLocalization室ですね。

松山:設立当初は、日本に限らず、LINEサービスが利用されている国外のユーザーからの問い合わせにも対応していたんです。その後、台湾やタイ、インドネシアにもLINEの拠点ができて各国でユーザー対応をおこなうようになり、LINE Fukuokaは日本のユーザーに特化できるようになりました。

一方で、グローバル対応をしていたことで、LINE Fukuokaには複数言語の翻訳に対応できるメンバーがそろっていた。そこから、各種サービスのヘルプページ翻訳や、LINE GAMEのローカライズを担うようになりました。

原田:CSにおける翻訳能力と、ヘルプページやゲーム翻訳で必要とされる能力は実はかなり違います。
CSの場合、ユーザーと直接コミュニケーションを取ることができるので、一定の言語スキルがあれば、会話を通してゴールにたどり着けます。一方でヘルプページやゲームは「誰が見るかわからない」もの。一方通行のコミュニケーションで理解してもらう、楽しんでもらうためには、翻訳者としてより高度なスキルが必要になります。
「言語のコミュニケーション」を商品としていたところから、「言語自体」を商品にした、大きな進化だと思いますね。

さらにGAMEの翻訳は、「完成したゲームを見ないで翻訳する」難しさもあります。GAME全体のストーリーを理解して、想像力を働かせる必要がある。加えて、単純に言語を置き換えるだけではなく、 各国の文化を踏まえて、ユーザーに楽しんでもらえる表現を考える「ローカライズ」の力も、業務を通じて培われていると感じます。これはヘルプページ翻訳も同じで、言語ごとにわかりやすい表現というのは異なってくるので、その点でも「ローカライズ」の役割は大きいです。 
ドラパ翻訳の様子
ローカライズには各国の文化や、企画背景の理解が欠かせない。パズルゲーム「LINE:ドラえもんパーク」のローカライズにあたっては、物語の世界観を理解するため、原作漫画を読み込んだ


―ヘルプページ翻訳の対応サービス数や、GAME翻訳の対応タイトルも増え、組織も拡大していきました。「CSの一部」から、「LINEサービスのローカライズ組織」として独立する規模になり、現在はコミック翻訳監修や、サービスUIの翻訳にも取り組んでいます。

松山:Localization室は、一般的な翻訳会社とは異質な存在ですよね。LINEサービスの本質を理解してローカライズができる、というのが重要な点だと思います。

原田:そうですね。LINEは非常にサービス数が多いです。当然、サービスを理解していないと翻訳は難しい。社内にこれだけの翻訳者を抱えている組織も珍しいと思いますが、日々凄まじいスピードでサービスが生まれるLINEという組織の中で、 サービス理解の深い翻訳者の存在は重要だと感じます。
最近はヘルプページのように「困ったときに見に来る」ページだけでなく、サービス関連のブログや販促物 の翻訳も増えています。今後は 「わかりやすさ」だけでなく「ユーザーを惹きつける力」も必要になると考えています。
Localization室のメンバーは、ひとりひとりがプロの翻訳者。各所と連携しながら、その価値をしっかり示していきたいですね。

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2019年のLocalization室忘年会の様子。約50名のメンバーで、8言語の翻訳に対応している。
 

 
「金融組織」として、信用を確立し進化する

―金融系サービスのCSや審査、モニタリングを行うFintech Operation室も、LINE PayのCS対応などから生まれた組織です。

野中:金融系サービスはセキュリティの観点や業界の特性上、特化した組織が必要と判断し、2018年から独立した室になりました。
金融組織としての信用を確立し進化するため、金融業界出身者である山南さんに、今年から室長をお任せしています。


―銀行、損保、仮想通貨取引所と金融系のキャリアを積まれてきた山南さん。2019年の入社時点で、Fintech Operation室に対してどんな印象を持ちましたか?

山南:金融組織として満たすべき要件が思った以上に整えられている、と感じました。
「金融色」はまだあまりないかなと予想していたので、少し意外でしたね。
ただ、当時はまだリスク管理やセキュリティポリシーについて「事業部に依存している」という印象も受けました。
運営組織には運営組織として必要な管理体制というものがあります。資金移動業を筆頭に、業界の構造が目まぐるしく変化する事業を多く扱っているため、最も業務内容を掌握している組織が適切にリスクをコントロールする必要があるものと考えています。


―この1年はどんなことに取り組まれたのでしょうか?

山南:顕在化したリスクだけでなく、 潜在リスクの管理に取り組んでいます。
業務ごとの潜在リスクをスコアで可視化し、事前に対応策を講じることで、事故の未然防止に努めています。

加えて、 メンバーのマルチスキル化にも取り組んでいます。Fintech Operation室はLINE Pay、LINEほけん、BITMAXなど複数の事業に関わっていますが、キャンペーン等で一時的に業務があふれた際など、流動的に人員配置できるような体制に調整しているところです。
過度な残業を防ぐと同時に、別の金融事業に携わることで、ノウハウや業務フローを知り、キャリアの拡大にもつなげられたらと。


―今後はどんな風に、この組織を進化させていきたいですか?

山南:金融系サービスのクロスユース戦略はさらに加速していくと思われますが、サービスごとに業務の対応品質やソリューションが異なっていては、ユーザーに高水準のCXを提供できません。室全体でノウハウやメソッドを相互補完し、組織のスケールメリットを生かして管理レベルを高度化していくつもりです。

加えて、Tech面も強化していきたいです。自動化やRPA導入等、グループ内に蓄積されている知見をまだまだ活用しきれていないのが現状です。平易な業務はRPAを活用し、メンバーにはより難易度の高い部分を担ってもらったり、自動対応システムのチューニング等、導入した技術を活用・アップデートしていくスキルを磨いていけるようにしたいと考えています。
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Fintech Operation室全体集会の様子。”金融組織”としての信頼獲得を目指し、チームビルディングに取り組む


カスタマーケアと、そこから生まれた2つの組織についてお伝えした「前編」。
「後編」では、モニタリング、戦略事業の運営、営業・審査、そして「サービス運営」全体の価値最大化を目指す横串組織が登場します。ぜひ、こちらもご覧ください!


▼本記事で登場した組織の採用情報
<カスタマーケア/LINE GAME/リーダー候補>
<ローカライザー/LINE GAME/韓国語>
<翻訳チェック/LINEマンガ/韓国語>



▼7周年記念企画 LINE Fukuokaの7年とこれからを語ろう【全7回】
1)11月10日公開
組織数9→96。CS・翻訳・金融…目指すは各領域の“プロ集団”―LINE Fukuoka「サービス運営」の7年とこれから【前編】(本記事)

2)11月11日公開

3)11月12日公開

4)11月13日公開

5)11月16日公開

6)11月17日公開

7)11月18日公開

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