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“のび太はしずかちゃんに素直に想いを伝えられる?”-国民的マンガの世界観を正しく輸出する、Localization室のチャレンジ

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【お知らせ】2023年10月1日にLINE Fukuoka株式会社からLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社へ社名を変更しました。9月30日以前の記事は、旧社名の情報を元に作成しています。
 
2019年9月に日本でサービスを開始したパズルゲーム「LINE:ドラえもんパーク」が、2020年9月3日、台湾、タイ、インドネシア、香港などグローバルへ向けてもリリース。
LINE GAMEをはじめとして、サービスを海外へ展開する場合、元の言語から現地へ適した表現に変換する「ローカライズ」を行います。

「のび太はしずかちゃんに、好きだという気持ちを伝えられると思いますか?」
ローカライズを担うLocalization室 室長との立ち話をきっかけに実現した今回のインタビュー。

なぜ、ローカライズ担当がこの疑問を持ち、原作マンガを読んで調べることにしたのか。
「LINE:ドラえもんパーク」のローカライズに携わった二人が舞台裏を語ります。

・「LINE:ドラえもんパーク」が他の国でどのように展開されるか興味をお持ちの方
・ローカライズって何だろう?と思った方
・ローカライズは翻訳と同じ?と思った方
・LINE GAMEを世界のユーザーに届けるための取り組みが知りたい方 ぜひお読み進めください。

話を聞いたのは…


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左:LINE GAMEのローカライズ組織を取りまとめる  ディーパック
右:日本語⇔韓国語のローカライザー  糸数


LINE Fukuokaのローカライズ組織について
・現在30名が所属
・対応言語は、英語、タイ語、中国語(繁体字)、日本語、韓国語、スペイン語
・主にLINE GAMEやLINEマンガのローカライズを担当
・LINE GAMEは、日本以外の国へリリースされている約20タイトルが対象
 リリース前とリリース後の運用において、ローカライズを行う




言葉でサービスを対象地域に溶け込ませる

─ ローカライズでは、どのようなことをするんですか?

ディーパック:
ローカライズ=サービスやプロダクトを現地に合わせた最適な形にすること。
ある地域の製品やサービスを他の地域で販売するために、そこで暮らす方の文化に対応させる取り組み全体を指します。

現地のスタイルやニーズに沿った形にローカライズすることで、より多くのユーザーと関係を築くことができますし、サービスに対する満足度も上がります。
会社やサービスのロゴの色にもローカライズの視点は必要ですし、アプリの機能、キャラクターの態度など対象は幅広いです。

LINE Fukuokaでは、ローカライズの大切な要素の1つである言語を担当しています。
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─ 言語の「ローカライズ」と「翻訳」の違いは?

ディーパック:翻訳は、文章の内容や口調、表現を忠実に対象言語に訳すことだと考えています。
ローカライズは、意図を把握した上で、読み手の文化に違和感なく溶け込ませるように言葉をうまく操作するという感じです。

糸数:ローカライズには文化的な視点も入ります。
元のテキストが日本語だとしたら、日本文化の中で受ける印象とローカライズ後のテキストに対して、その国の人が受ける印象とが変化してしまわないよう注意します。

例えば、「ゴールデンウィーク」という日本語を日本以外の方が違和感なく意図を理解するにはどう伝えるか?文化や慣習まで考えて訳文に反映させるのがローカライズですね。
目の前のサービスが、他言語のサービスからローカライズされたものだと感じ取れないほど、自然になっているのが理想かもしれません。

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─ 「LINE:ドラえもんパーク」のローカライズを担当した二人。
糸数さんは、海外の開発会社で作成されたゲームのテキストを韓国語から日本語に変換するローカライズを。ディーパックさんは、日本語を元に他言語へローカライズする際の取りまとめを担当しました。
50年愛され続けている作品が対象になったとき、どのような視点で取り組んだのでしょうか?
  
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原作の世界観を知るところから

糸数:私も小さい頃に、ドラえもんをアニメで観ていました。
慣れ親しんだ作品のローカライズに携わるとは思ってもいなかったので、「LINE:ドラえもんパーク」を担当すると決まったときは、初めてのことにワクワクしました。
何よりもまず先に、原作マンガを読み、世界観を理解することから始めました。

ドラえもんのひみつ道具の図鑑を見たり、マンガを読み返したり。原作の世界観はつねに意識しました。
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のび太は素直に想いを伝えられるのか?

─原作から受けた印象で、特に大切にしたことはありますか?

糸数:キャラクター一人ひとりの印象と小学生らしさは大切にしました。
「僕」「私」「俺」など、一人称の使い分けや言葉遣いは、キャラクターの印象に沿ったものになるよう意識しています。
ジャイアンも、普段は自分のことを「おれ」と言うのですが、リサイタルを始めたいときなど特別な瞬間には「おれ様の歌を聞けよ」と言うなど、場面によって使い分けがあります。

「LINE:ドラえもんパーク」のシナリオは日本と韓国のスタッフが考案しています。
当初、韓国のスタッフが考案したのび太くんのセリフ内に、しずかちゃんに対する気持ちがとても端的に表現してある部分があり、「このまま日本語に直訳するとドラえもんの世界とは異なるのでは?」と思いました。
原作ののび太くんは、優しくて思いやりがあって、だけど臆病なところがあります。
その世界観を背景にセリフに目を通すと、のび太くんが言うには、少し勇気がいるセリフのように感じたんです。

のび太くんらしさとしずかちゃんに抱いている感情の描写など、原作の世界観を壊さないよう、原作マンガを読み返し、原作事務所の方とも協議・調整を重ねてローカライズしました。
「LINE:ドラえもんパーク」のセリフは、のび太くんのもどかしくて愛おしいキャラクターを生かすことも意識しているので、ゲームをプレイしながら感じ取っていただけたら嬉しいです。

ドラえもんについても、のび太くんを叱るときのセリフが突き放すような言い方ではなく、優しさを含んだ表現になっています。
これは、原作で感じたドラえもんとのび太くんの関係性をそのまま残したかったからです。
「ドラえもんパーク」の中であっても、キャラクターたちは原作と同じように生活をしていて、地続きの世界にいると感じてもらいたいです。
 
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─ 原作の世界観を軸に、2019年9月にまずは日本語で「LINE:ドラえもんパーク」はリリースされました。
そして、今回は英語と中国語(繁体字)へ展開されましたが、どのようなローカライズが行われたのでしょうか?


ジャイアンは「Big G」

ディーパック:配信される国の文化や習慣に合わせて、キャラクターの名前や言葉遣いも調整しました。
名前や言葉遣いは、キャラクターたちがどう受け入れられるかを決める重要な要素です。ジャイアンが敬語を使っていると、別のキャラクターになってしまいますよね?

日本語で雰囲気や話し方を把握するために、英語・中国語(繁体字)担当者も原作マンガなどの資料を確認しながらローカライズしているんですよ。

ジャイアンの名前は、原作マンガの英語版と同様に「Big G」になります。
原作から感じた少し乱暴で威張っているキャラクターを表現するために、高校生が使うような砕けた言葉遣いにしています。特徴を持たせるために、イギリス南部の方言で話すシーンもあります。
しずかちゃんは「Shizu」。ジャイアンとは対照的に、言葉遣いに特徴はつけていません。話すのも標準語です。
 
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担当者が変わっても同じ世界をつくる

ディーパック:
配信国に適した言葉に変換することも大切ですが、実は、同じくらいゲーム内の世界観を「統一」させることも大切です。
複数の言語でゲームをリリースする際、言語ごとに2名のローカライザーが担当になります。
例えば4つの言語にローカライズする場合は、合計8名。

どの担当者が対応しても、同じ世界を表現したローカライズができるよう、各言語にスタイルガイドという内部資料をつくっています。
キャラクターの話し方や禁止用語など、ローカライズする上で必要な情報を集約して管理しているんです。

ユーザーに楽しんでもらうためにイギリス英語へチャレンジ

ディーパック:お伝えしている通り、「LINE:ドラえもんパーク」は9月3日に英語版と中国語(繁体字)版が、台湾、タイ、香港、インドネシア、インド、ベトナムに向けてリリースされます。

これまでLINE GAMEでは、アメリカ英語を主流にしていたのですが「LINE:ドラえもんパーク」は、配信地域のユーザーにとって、より伝わりやすい英語をと考えて、初めてイギリス英語を採用しました。

例えば。日本語の「メールボックス」はアメリカ英語では「mailbox」、イギリス英語では「letter box」。
階数の数え方も、日本語とアメリカ英語では、入り口からビルに入ったらそこが「1階」「first floor」ですが、イギリス英語では、「ground floor」そこから階段を登った先を1階と数えます。
このような小さな違いがいくつもあります。

これまでの当たり前ではなく、実際にゲームをプレイする方にとって何が最適なのかを考えてチャレンジしたことは印象に残っていて、LINE STYLEのUsers Rule(全ての原点は、ユーザーニーズ)を感じたんですよね。
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 ※LINE STYLEはLINEの価値基準です   https://linefukuoka.co.jp/ja/company/mission

糸数:ローカライズ担当者は、みんなエンドユーザーのことを考えて翻訳します。
ユーザーにとって、どれだけ違和感がないか。細かな表現にもこだわるので、Perfect Details(追求すべきは「紙一重」の違い)も感じますね。
ゲーム自体の面白さに加えて、テキストの表現を通してゲームの世界を楽しんでもらえるか。つねに考えながらチャレンジしていくのは、ゲームローカライゼーションの醍醐味です。
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糸数:「LINE:ドラえもんパーク」は、ドラえもんたちの魅力が詰まったゲームです。
日本だけでなく、いろいろな国の方々が同じように「可愛い」と感じながら、自分のタウンで一緒にパズルを楽しんもらえたら、嬉しいです。
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─ LINE GAMEと世界のユーザーとの距離を近づけるLINE Fukuokaの「ローカライズ」
世界中のユーザーが「LINE:ドラえもんパーク」に、可愛い・面白いと同じ感想を口にしていたら。
それは、言語と文化の違いを理解した上で、言葉を最適な形に整える「ローカライズ」の力かもしれません。


LINE Fukuokaのローカライズに関する採用情報はこちら
ローカライザー/LINE GAME/韓国語


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